TOPへ

不整脈

不整脈とは

不整脈は、心臓の筋肉が電気信号によって規則正しく動く際に、何らかの原因で信号に乱れが生じた結果として発生します。この乱れが心臓の拍動を一時的に不規則にし、脈の乱れとして現れるのです。健康診断で不整脈が見つかった際には、過小評価も過大評価もせず、心配する必要のない不整脈と受診が必要な不整脈を区別し、適切に対応することが重要です。

このような症状は
ございませんか?

このような症状はございませんか?以下のような症状に思い当たる方は、受診をおすすめいたします。

  • 休んでも治まらない動悸
  • 不規則な心拍を感じる
  • 軽度の胸痛や圧迫感
  • 運動時の息切れや疲労感
  • 頻繁に感じるめまい

すぐに受診すべき不整脈の症状

特に以下のような症状が見られる場合には注意が必要で、早急に医師の診察を受けることが重要です。

  • 意識喪失・失神
  • 胸痛
  • 呼吸困難・息切れ
  • 極端な疲労感・倦怠感
  • 強い動悸

不整脈のタイプ

不整脈は原因や特徴により多くの種類に分けられますが、心拍の速度に基づいて大きく3つのカテゴリーに分けられます。

脈が速くなる
「頻脈性不整脈」

毎分150回以上の心拍数を示す不整脈です。心臓の電気刺激が異常に速くなる、もしくは電気の通り道に異常な経路が生じることが原因で発生します。この状態には心房頻拍、心房細動、発作性上室性頻拍、心室頻拍、心室細動、WPW症候群などが含まれます。特に危険なのは「致死性不整脈」とされる心室頻拍や心室細動で、これらは命に関わるリスクがあります。

脈が遅くなる
「徐脈性不整脈」

毎分50回以下の心拍数を示す不整脈は、心臓の電気刺激の発生障害や伝達不全によって引き起こされます。この状態には洞不全症候群や房室ブロックなどが含まれ、心臓の正常なリズムが乱れることになります。

脈が飛んだり抜けたり
する「期外収縮不整脈」

心臓の通常の電気刺激源以外の場所から発生する刺激によって、引き起こされる不整脈です。心拍が飛ぶ、または不規則になるこのタイプの不整脈は一般的で、健康な方でもアルコールの過剰摂取、喫煙、過労などによって発生することがあります。また、心房性期外収縮と心室性期外収縮が主な形態です。
一般的な不整脈であるものの、心臓病を患っている方では、心室細動の前兆となり得るため、突然死のリスクがあることから注意が必要です。

突然死を起こす不整脈は?

心室細動

心室細動は、心室が非常に速く、不規則に収縮するため、心臓が正常に血液を全身に送り出せなくなる危険な不整脈です。これにより、意識喪失や呼吸停止が急速に進行し、治療が遅れると生命に危険が及びます。主な原因は心筋梗塞、心筋症、電解質異常、遺伝性疾患などです。

心室性頻拍

心室性頻拍は、心室から発生する速い心拍で、心拍出量が大幅に減少する危険な不整脈です。長時間持続すると心室細動に移行するリスクがあり、突然死の原因となることがあります。原因としては心筋梗塞の後遺症、心筋症、心臓手術後の瘢痕、電解質異常、遺伝性疾患などが挙げられます。

完全房室ブロック
(第三度房室ブロック)

完全房室ブロックは、心房から心室への電気信号が完全に遮断される状態で、心房と心室が独立して拍動します。このため、心室のリズムが非常に遅くなり、意識喪失や突然死のリスクが高まります。主な原因は心筋梗塞、心筋症、心臓手術後、加齢による電気伝導系の変性、一部の薬物などです。

QT延長症候群

QT延長症候群は、心電図でQT間隔が異常に延長し、致命的な心室性不整脈(トルサード・ド・ポアン)のリスクが高い状態です。原因には遺伝性のもの、薬物によるもの、電解質異常などが含まれます。

ブルガダ症候群

ブルガダ症候群は、心電図で特有のST上昇を示し、突然の心停止のリスクが高い遺伝性疾患です。夜間や安静時に突然の心停止が起こることが多いのが特徴です。原因は遺伝性のイオンチャネル異常です。

不整脈の原因

不整脈の原因には多岐にわたり、心臓の疾患や高血圧、甲状腺の異常、慢性閉塞性肺疾患、薬剤の影響、年齢の増加、ストレス、疲れ、体質などが挙げられます。

不整脈になりやすい人の特徴

  • コレステロール値が高い方
  • 高血圧や糖尿病、動脈硬化を発症している方
  • 肥満体型の方
  • ご家族の中で心疾患を患っている方がいる

不整脈の検査と診断

不整脈の診断には心電図検査が基本とされていますが、時折発生する不整脈はこの検査では捉えられない可能性があります。そのため、24時間にわたって心電図データを収集するホルター心電図検査が用いられることがあります。
不整脈が心臓の既存の疾患によって引き起こされる場合もあれば、心臓に他の異常がない場合もあります。そこで、心臓の状態を詳しく調べるために心臓超音波検査や運動負荷検査が実施されることがあります。

不整脈を放置してもいい?

不整脈が何度も発生すると、心臓への損傷が大きくなり、心機能の低下を招き、心不全のリスクを高めてしまいます。さらに、血栓形成が促進されることで脳梗塞の原因となる危険性があります。不整脈は自己判断で放置せず、専門医の診察を受けるようにしましょう。

不整脈の治療

不整脈の治療徐脈性不整脈の場合、症状がなければ治療は通常不要です。その場合は、経過観察が行われます。
しかし、めまいやふらつき、失神などの症状がある場合は、ペースメーカーを用いた治療が必要になる可能性があります。
一方、頻脈性不整脈や期外収縮の場合は、症状の程度に応じて治療法が選ばれます。薬物療法が有効な場合もあれば、カテーテル・アブレーションと呼ばれる手法で不整脈の原因部位を焼却する治療が選択されることもあります。このカテーテル・アブレーションは特に心房細動や期外収縮に対して効果的で、近年大きく進歩しています。不整脈などがご心配な場合は、一度専門医へ相談してみましょう。